「子どもの困った行動ばかりが気になってしまう」「毎日同じことでイライラしてしまう」…そんな悩みを抱えていませんか?ペアレントプログラム(ペアプロ)の第1回では、まず「現状把握表」というワークシートを使って、親と子の行動を整理することから始めます。
このシンプルな表が、これから6回にわたる学びの土台となり、あなたの子育てを大きく変える最初の一歩になるのです。
第1回で体験すること
🎯第1回の目的
自分と子どもの行動を「事実ベース」で整理する基礎スキルを学び、「良いところ探し」の第一歩を踏み出します。
⏰ 第1回の流れ(約90分)
- プログラム全体の説明(20分)
- 基本的な考え方の共有(15分)
- 現状把握表の作成ワーク(40分)
- ペアでの振り返りと共有(10分)
- 次回への宿題説明(5分)
プログラム全体の説明~6回の旅路へ
💪6回で身につく力
第1回の最初に、ファシリテーターから6回のプログラム全体について説明があります。
💡 6回で得られる3つの力
- 見つける力:子どもと自分の「良いところ」を発見する観察眼
- 伝える力:具体的で前向きな言葉がけができるコミュニケーション力
- つながる力:同じ悩みを持つ仲間と支え合う関係構築力
🤗 参加の心構えと大切なルール
「批判せず、支え合う」という基本ルールが確認されます。参加者同士が安心して話せる環境作りが最優先です。
- 正解・不正解はありません:どんな発言も尊重されます
- 他の参加者の秘密は守ります:プライバシーを大切にします
- 完璧を目指さない:「できるところから」の精神で取り組みます
基本的な考え方の共有~新しい視点との出会い
現状把握表を書く前に、ペアプロの根本にある3つの重要な考え方を学びます。
1️⃣ 子どもの発達には大きな個人差がある
「○歳だからこれができて当然」という考え方を一度手放しましょう。同じ年齢でも、得意なこと・苦手なことは一人ひとり大きく違います。「うちの子のペース」を大切にすることから始まります。
2️⃣ 得意なことは自然にできる、苦手なことは”コツ”を身につければできる
子どもが「できない」のは、まだ「そのコツを知らないだけ」かもしれません。叱って直そうとするのではなく、「どんなコツがあるかな?」と一緒に考える視点が大切です。
3️⃣ そのコツは「ほめながら」でないと身につかない
叱られながら学んだことは長続きしません。ほめられ、認められながら身につけたコツは、子どもの自信となり、さらなる成長の土台となります。

現状把握表の作成ワーク~いよいよ実践!
📝 現状把握表とは?
現状把握表は、自分と子どもそれぞれについて「いいところ」、「努力しているところ」、「困ったところ」の3つの視点で整理するワークシートです。
書き方の例
項目 | 自分編(保護者) | 子ども編 |
---|---|---|
いいところ | 毎朝子どもの朝食を作る 家族に元気にあいさつする 子どもの話をよく聞く | 朝は自分で起きる 友達に優しく声をかける 好きな本をよく読む |
努力しているところ | イライラしないよう心がけている 毎日家事を頑張っている 時間を守るように意識している | 宿題をやろうと頑張っている 片付けを声かけられたらやる 給食の苦手な野菜も1口食べる |
困ったところ | つい声を荒げてしまう 夜更かしが続きがち 家事がうまく進まない | 宿題をやりたがらない 服を脱ぎっぱなしにする 着替えに時間がかかる |

✨ ワークの重要なポイント
1. 動詞で書く
性格や特徴ではなく、行動で表現します。
❌ 避けたい表現 | ⭕ 良い表現 |
---|---|
「明るい」 | 「明るく挨拶する」 |
「だらしない」 | 「服を脱ぎっぱなしにする」 |
「優しい」 | 「友達に優しく声をかける」 |
2. 具体的に書く
誰が見てもわかる内容で記述します。
- 「勉強する」→「算数のドリルを10分間取り組む」
- 「手伝いをする」→「食器を食器棚に片付ける」
- 「早寝をする」→「9時には布団に入る」
3. 真似OK
他の参加者の表現を参考にしても大丈夫です。「それ、うちの子もやってる!」と気づくことも大切な学びです。

第1回でよく起こる「発見の瞬間」
💡 参加者の典型的な気づき
Cさん(6歳男児の母)の体験
「最初は『困ったところ』ばかりがどんどん浮かんできました。でも『いいところ』を書こうとすると、意外に出てこなくて…。普段いかに悪いところばかり見ていたか気づかされました。でも、よく考えてみると『毎朝ちゃんと起きる』『友達に優しい』など、当たり前だと思っていたことが実はすごいことなんだと気づけました」
Dさん(4歳女児の母)の体験
「『イライラして怒鳴ってしまう』と書きながら、『でも子どものことを心配しているから怒るんだ』と気づきました。完璧な親でなくても、子どもを思う気持ちがあることが大切なんだと思えるようになりました」
🌟 第1回で期待できる変化
- 視点の変化:「問題探し」から「良いところ探し」への意識転換
- 気づきの体験:「当たり前」だと思っていたことの価値に気づく
- 安心感:同じ悩みを持つ仲間がいることを実感
- 期待感:「これから変われるかも」という希望を持つ

第1回の宿題~次回までの実践課題
📚 2つの宿題
宿題1:現状把握表をさらに充実させる
- 自分について各3つずつ書いてくる
- 子どもについて各3つずつ書いてくる
- 今日のワークで書けなかった分を家で考えて追加
- 日常生活の中で新しい「いいところ」を発見したら随時追加
宿題2:夫(身近な大人)をほめて反応を観察する
- 少なくとも1回、夫や身近な家族をほめてみる
- その時の相手の反応を観察する
- 自分の気持ちの変化も記録する
- 「ほめる」ことの効果を体感する実験
💡 ほめ方のヒント
- 「いつもありがとう、助かってるよ」
- 「○○してくれて嬉しい」
- 「さすがだね、○○が上手だね」
🤔 宿題でつまずきやすいポイント
Q: 「いいところ」が思いつかない時は?
A: まずは「普通にできていること」から始めましょう。「朝起きる」「ご飯を食べる」「靴を履く」など、日常の小さな行動も立派な「いいところ」です。
Q: 夫をほめるのが恥ずかしい時は?
A: 「ありがとう」から始めてもOKです。感謝の気持ちを伝えることも立派な「ほめる」実践です。

第1回を終えて~次回への展望
🌱 今日の成果を振り返る
第1回を終えた参加者の多くが感じるのは、「意外に子どものいいところがあった」という発見です。この小さな発見が、これから5回続く学びの種となります。
🔮 次回(第2回)への展望
次回は「行動で書く!」をテーマに、今日書いた現状把握表をさらに具体的で観察しやすい表現にブラッシュアップしていきます。「優しい」を「困っている友達に声をかける」に変える練習を通じて、子どもの行動をより深く理解する力を身につけます。
🎯 次回予告:第2回のポイント
- 宿題の振り返りと「夫をほめた」体験談の共有
- より具体的な行動表現への書き換え練習
- 「いいところ」の基準を下げる重要な学び
- 「努力しているところ」から「いいところ」への格上げワーク
参加者へのエール
完璧な現状把握表を作る必要はありません。今日が「子どもと自分の良いところ探し」のスタートラインです。
これから6回の旅路を通じて、きっと「子育てが少し楽しくなった」「子どもとの関係が少し良くなった」と感じられる瞬間が訪れるはずです。
一人で頑張りすぎずに、仲間と一緒に歩んでいきましょう。
次回「第2回 行動で書く!」でお会いしましょう 🌸

参考・引用
NPO法人アスペ・エルデの会『楽しい子育てのためのペアレント・プログラムマニュアル』、2014年
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